首すわり前のだっこ紐使用について

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新生児にだっこ紐を使うのは、とても難しい

生まれたばかりの赤ちゃんをだっこ紐で支えることは、思っている以上に繊細で難しいものです。

生後すぐの赤ちゃんの身体は柔らかく、骨や筋肉も未熟で、重力の中で体を保つために多くのエネルギーを使います。
適切な姿勢を維持することがとても大切な時期で、だっこ紐を使うには、本来専門的な知識が不可欠です。 

新生児には「縦抱きのだっこ紐」を使わない方が良い?

「新生児のたて抱っこは危険」「素手での横抱きをするべき」という意見を聞くことがあります。

 

確かに、特に生後1ヶ月程度の時期は、親や家族が交代で抱っこできるなら、無理にだっこ紐を使う必要はないかもしれません。

 

ですが、適切に抱っこ紐を使うことで、赤ちゃんの抗重力本能や二足歩行に向けた運動能力の獲得をサポートするなど、

発達への効果が期待できることがわかっています。

 

これは、横抱きや床の上で過ごすだけでは得られない特別な発達の機会です。

 

出産を終えた母親は体を休めることが第一ですが、例えば父親や家族が、

赤ちゃんの体と心の発達を促すことを目的に適切にだっこやだっこ紐を育児に取り入れることには意味があります。

 

だっこ紐で支えることが、赤ちゃんの発達に与える影響

新生児期から適切にだっこされる経験は、赤ちゃんの発達に多くのプラスの効果をもたらします。

だっこ紐を正しく使うことで得られる効果をご紹介します。

運動能力の獲得を助ける


抗重力姿勢(縦だっこ姿勢)で適切に抱かれることは、筋肉や骨格の適切な発達を促し、二足歩行へ向けた運動能力の獲得を助けます。

感覚統合の助けになる


新生児期は原始反射が多く見られる時期です。適切な姿勢で抱っこされることで、触覚やバランス感覚が刺激され、これらが統合されていく過程で、少しずつ赤ちゃん自身が自分の体をコントロールする力を身につけます。この時期の抱っこは、原始反射を適切に統合し、赤ちゃんの発達をスムーズに進める助けとなります。

情緒の安定


適切な姿勢でだっこされることで心地よい時間が増え、親子の愛着形成の助けにもなり、情緒が安定する時間が増えます。


新生児に最適なだっこ紐は?

新生児期のだっこ紐選びには特に注意が必要です。一般的なバックルタイプのだっこ紐や「新生児から使える」と書かれた商品でも、実際には赤ちゃんに合わず危険な状態にすらなってしまうようなケースが多く見られます。

最適なのはベビーラップ(特にストレッチタイプ)

ベビーラップは、赤ちゃんの体にぴったりとフィットし、発達を支える正しい姿勢をサポートすることができます。

 

特にストレッチタイプは、ベビーラップの中でも扱いやすく、産後の生活の中で養育者が使いやすい選択肢といえます。

 

ただし、ストレッチラップはさまざまな種類やメーカーがあり、適切に選ぶ必要があります。また、首すわり前後以降、成長に合わせて買い換える必要がでてきます。

織布ベビーラップやリングスリング

織布ベビーラップやリングスリングは、新生児にも安全に使うことができますが、ある程度の慣れや技術が必要なため、難易度はストレッチタイプより高くなります。

 

特にリングスリングは、片方の肩にかける構造上、赤ちゃんの姿勢をまっすぐ適切に保つことにコツを掴む必要があります。

 

また、生地の素材や厚さ、織り方など、新生児に向いたものを選択する必要があります。一方で、その後買い換える必要なく長く使える利点があります。

 

それぞれの特徴を理解したうえで、適切なサポートを受けながら選ぶことが大切です。

成型バックルタイプの難しさ

成型バックルタイプのだっこ紐は、赤ちゃんの姿勢に合わせが細やかな調整が非常に難しいです。

 

特に新生児期は、骨盤や背骨の自然なカーブをよりしっかりとサポートする必要がありますが、多くのバックルタイプは調整幅に限界があるため、赤ちゃんに合った姿勢を保つ調整が難しいです。

 

新生児期の縦抱きで大切な「上部胸椎の適切な支え」も叶わないことが多く見受けられます。

 

その結果、赤ちゃんは不自然な姿勢や危険な状態になってしまうことが少なくありません。

 

市場で『新生児から使える』と謳われる商品でも、赤ちゃんの姿勢に関して重視していなかったり、重視していたとしても説明書からではポイントを理解しきれないことが多いので注意が必要です。

 

バックルタイプのだっこ紐を、生後すぐの赤ちゃんに合わせて適切に支えるように使うのは非常に難しい、ということをこの記事から知ってもらえるといいなと願っています。

 


新生児期に本当に「だっこ紐」が必要か家庭によってそれぞれ

このページの最初にも書いたように、特に生後1ヶ月程度の時期は、親や家族が交代で抱っこできるなら、無理に道具を使う必要はないかもしれませんが、産後の状況は家庭によって本当にそれぞれで違い、「だっこ紐」が必要かどうかは一概に考えることはできません。

産後の生活をイメージしてみましょう

では、産後の生活を具体的にイメージしてみましょう。

 

 

夫婦で協力できますか? 夫は育児休暇を取得しますか?

 

取得する場合の期間はどのくらいですか?

 

夫婦以外に家族のサポートはありますか?

 

第一子ですか?上の兄弟がいますか?

 

双子や早産など、特別なニーズはありますか?

 

 

産後に親が赤ちゃんと二人きりで過ごす時間が多い場合や、

家族のサポートが難しい場合は、赤ちゃんと"生活していくために"だっこ紐が大きな助けになることがあります。

 

一方、家族の協力が得られる場合は、産後すぐから"生活するために"だっこ紐を使う必要はないかもしれません。

 

また、双子や早産の赤ちゃんの場合、適切な姿勢を保つ道具選びが特に重要になることがあります。

NICUやGCUの退院後、大切にするべきポイントも増えるかもしれません。

 

産後の状況や生活を具体的に整理、想像してみることで、自分に必要な準備が見えてきます。

だっこ紐を選ぶために大切な視点

だっこ紐は、「赤ちゃんの発達に合った姿勢を支える道具」です。新生児期ともなれば、その影響はより大きくなります。

 

しかし、流行や口コミ、インターネット上でよく知られているだっこ紐には、その視点が考慮されていないことが多かったり、

考慮されていたとしても、説明書だけでは理解することが難しく適切に使用されていないのが現状です。

 

「どの抱っこ紐がいい?」「どれが使いやすい?」と迷ってたくさんの情報を調べるよりも、

まずは赤ちゃんの発達に合った姿勢について理解を深めることがなによりも大切です。

 

さらに、赤ちゃんの発達と暮らしの快適の視点から言えば、数あるだっこ紐の選択で迷うより、まずは専門家の立ち会いの下でベビーラップを検討し、使えそうであれば「どう使っていくか」を練習する、難しければ他の適切な選択肢を検討する方がずっと効率的で、効果があります。

だっこ紐を検討する適切な時期

だっこ紐を選択するベストな時期は「妊娠前から妊娠中」や出産後の「だっこ紐購入前」です。

 

産後の生活を具体的にイメージしたり、産後の暮らしの状況と照らし合わせて検討するのがおすすめです。

 

 

だっこ紐購入後であれば、「なんだか上手く使えない」、「赤ちゃんが泣いてしまう」など、なにかトラブルがある時にだっこ紐について調べたりすると思います。そんな時には、自分でどうにかしようとせず、専門家に相談することで解決が早まります。

新生児〜首すわり前のだっこ紐選択例

妊娠中に準備する場合

 

たとえば、産院の退院後すぐの時期にもだっこ紐が必要なのであれば、妊娠中の準備が必要です。

赤ちゃんの姿勢が保ちやすく扱いがより簡単なストレッチベビーラップが選択肢になります。

妊娠中に使い方を習い、生後すぐの赤ちゃんの抱き上げ方や姿勢などのポイントをしっかり理解しておきましょう。

 

生後1ヶ月以降に使うイメージで準備する場合

 

生後1ヶ月以降に徐々にだっこ紐が必要になってくる場合は、その頃の赤ちゃんの成長具合やライフスタイルに合わせて、織布ベビーラップやリングスリングなどを実際に試着しながら検討するのがおすすめです。

 

専門家の立ち会いの下ベビーラップを試着検討し、使うのが難しい場合は、適切なバックルタイプも視野に入れていきます。

 

 

※ただしこれらはあくまでも一例であり、誰にも当てはまることではありません。

 

どんな状況であれ、新生児〜首すわり前のだっこ紐は特に、自分だけで考えるにはあまりに専門的な選択になるので、専門家のサポートを受けながらだっこ紐を選択していきましょう。

 

(首すわり以降であっても、サポートを受けることが大切です。)

新生児〜首すわり前のだっこ紐使用 まとめ

新生児期にだっこ紐を使う場合、自己流ではなく専門家のアドバイスを受けることがとても大切です。

 

自分で得られる情報や製品の説明書からはわからない、赤ちゃんの発達に関わる大切なことがたくさんあります。

 

専門家のサポートを受けることで、だっこ紐の使い方だけでなく、赤ちゃんの発達や姿勢についての知識も自然と身につきます。

 

こうした知識は、育児全般に役立つので、初めての親でも安心して赤ちゃんと向き合えるようになります。