成長に合わせて変化するだっこおんぶの方法

赤ちゃんの成長と発達に伴い、だっこやおんぶで大切にしたいポイントは変化していきます。
発達の段階に応じて適切に変化させることが、赤ちゃんの発達を支えながら、親子の暮らしをより快適にすることにつながります。

発達のマイルストーンとだっこおんぶの変化の例

だっこおんぶの変化の面から見る、赤ちゃんの発達のマイルストーンを見てみましょう。発達には個人差が大きく、赤ちゃん一人ひとりの状況やライフスタイルによっても、適切なだっこやおんぶの方法は変わってきます。下記はあくまで一例として紹介します。

新生児期

重力への適応が始まる繊細な時期。だっこ紐使用時の適切な姿勢保持、大切なポイントの理解が特に重要です。この時期にだっこ紐を使用する場合は、専門家のサポートのもとでコツをつかむことを推奨します。

 


生後1ヶ月頃〜首すわり前

適切なだっこ紐使用が首すわりに向けた発達サポートに。
大人にもたれかかるような状態で縦に抱き、上部胸椎の支えや背中全体、骨盤を適切に支えます。


首すわり頃〜寝返り前

肩帯や背中の発達がさらに進みます。

片手に抱えて抱くような「腰抱き」を適切にすることは、寝返りに向けた正中を超えた動きの発達を促します。


寝返りが始まる頃

視力の発達も進み、好奇心も芽生えます。一方向の寝返りができ、寝返り返りはまだできないくらいの時期は、おんぶを始めるベストタイミングです。

 


腰座り頃

移動の自立が始まる頃。赤ちゃんが自分で座り、ハイハイして、また座る姿勢に戻る。この一連の動きができるようになることが「腰座り」の目安です。おんぶされて大人と共に動くことが、歩行の擬似体験の時間になります。


ひとり歩き頃

人間にとって「歩行」ができるようになることは、大きな大きな節目です。

親にとってはますます目が離せない時期ですが、自分で歩きたい!という欲求を満たしながら、必要な時にだっこやおんぶをしていきます。


自立歩行以降

歩行が自立し、幼児期以降も続くだっこの時間。

疲れてしまって歩けない、お出かけの途中で寝てしまったなど、だっこやおんぶの出番は続きます。

コミュニケーションとしてのだっこおんぶで心を満たす時間を大切にしていきましょう。


<注意>
以上、ひとり歩きの獲得に向けた発達段階に合わせただっこおんぶの変化例をご紹介しました。

だっこ紐の種類によって、たとえばおんぶは腰座り以降から、ひとり歩き以降から、と、設定が変わるので、この変化の通りにお手持ちの道具を使えないこともありますのでご注意ください。
大切なのはその発達段階に合う姿勢や支えるポイントを知ることと、そのポイントが満たされる適切な道具を選ぶことです。

 

ベビーラップの柔軟な対応力

ベビーラップであれば、発達の変化に合わせて使い方を柔軟に変化させていくことができます。

ただし、発達には個人差が大きく、だっこおんぶの変化は誰にも当てはまるものではありません。

 

一方で、たとえば「どうしても新生児期からおんぶをしなければいけない」など、状況による特別なニーズにも対応できるのがベビーラップならではの魅力でもあります。

 

ベビーラップの柔軟さ

・だっこ・腰抱き・おんぶと、成長段階に応じた幅広い使い方が可能

・発達段階や状況に合わせて巻き方を無限に変えられる

・赤ちゃんに適切にフィットさせて姿勢をしっかりサポート

・首すわり前の安全なおんぶなど、特別なニーズにも対応できる(※必ず専門家から習いましょう)

 

発達や状況に合わせて適切にだっこやおんぶを変化させていくために、専門家のサポートを受けることを推奨します。

リングスリングやショートラップとの併用でさらに快適

ベビーラップは赤ちゃんの成長や発達に柔軟に対応する優れた道具で、ベビーラップひとつで育児を乗り切ることも可能ですが、洗い替え用やシチュエーションによりリングスリングタイプやショートラップを併用すると、赤ちゃんとの日常生活がさらに快適になります。

リングスリングタイプ


2m前後のベビーラップ生地の片側にリングが2本取り付けられたタイプです。

 

短時間のだっこや移動が多い場合、サッと抱きおろしができとても便利です。熟練すると短時間のおんぶもできるようになります。

 

「スリング」には様々なタイプがあり、同じ構造であっても生地が変わると姿勢サポートのしやすさや使い心地が大きく変わります。ひとつひとつ検討する必要がありますが、検討するのが難しい場合は「適切なベビーラップ生地」で作られたシンプルなスリングを選択するのが安心です。

ショートラップ


ベビーラップは一般的に、420cm(サイズ5)を基準に、「基本のだっこ」がちょうどよく巻けるサイズを自分の「ベースサイズ」として使い始めます。

 

ベースサイズに慣れてくると、マイナス50cm〜150cm(サイズ2〜3程度)の短いサイズでも多様な巻き方ができるようになります。

 

ベースサイズの体重分散には劣る面もありますが、ちょっとしたおでかけや、飛行機や新幹線での移動などでコンパクトに持ち運びたい時などにも重宝します。

 


バックルタイプや日本文化の道具について

日本でよく選ばれているバックルタイプや成型タイプのだっこ紐、日本文化でのだっこおんぶ道具を選ぶ際、発達サポート視点で知っておきたい注意点を紹介します。それぞれの特徴を知った上で目的に合うものを選ぶことが大切です。

 

バックルタイプの特徴

 

・調整幅はあっても形が決まっているため、成長に応じた姿勢の変化には対応しきれない

 

・安全に使用できる時期や方法が、道具の構造に合わせて限定される(例:おんぶは腰座り以降 など)

 

・特に身体発達サポートを目的に姿勢を適切にサポートしたい場合は成長に合わせて想像以上に買い替えが必要

 

ベビーラップメーカーなどが、発達サポート視点で開発した成型バックルタイプも近年増え始めています。形は似ていても、開発視点やメーカーにより使い心地などが全く変わります。バックルタイプであればどんな製品が良いのか、自分で判断するには難しいことが多いため、専門家に相談した方が失敗なく選ぶことができます。

 

 

 

 

バックルタイプの注意点

・調整幅はあっても形は決まっているため、成長に応じた変化に対応できる幅も限定される

 

・安全に使用できる時期や方法が、道具の構造に合わせて限定される(例:おんぶは腰座り以降 など)

 

・特に身体発達サポートを目的に姿勢を適切にサポートしたい場合は成長に合わせて想像以上に買い替えが必要

 

 

※ベビーラップメーカーなどが、発達サポート視点で開発した、質の良い成型バックルタイプも近年増え始めています。

 

広く見れば形は似ていても、開発視点やメーカーにより使い心地や大切にされていることなどが全く変わります。バックルタイプであればどんな製品が良いのか、自分で判断するには難しいことが多いため、専門家に相談した方が失敗なく選ぶことができます。

日本文化タイプの注意点

日本の「おんぶ紐」や「へこ帯」「さらし」は、長い歴史の中で親子の暮らしを支えてきた貴重な道具です。

 

畑仕事や家事など前屈みの姿勢を取ることが多かった時代には、赤ちゃんを高い位置でおんぶすることで、大人の負担が軽減するように工夫されてきました。

 

一方、暮らし方や育児のあり方は変化し、また赤ちゃんの姿勢と発達に関する研究が進んだ現代では、これらの道具を使う際には注意が必要な面もあります。

 

たとえば、日本文化のおんぶは「首すわり以降」可能といわれますが、赤ちゃんの脇の下を支える構造が基本のため、赤ちゃんの背中が反りやすくなったり、骨盤を深く支えるのが難しい場合があります。

 

特に、首すわり直後で肩帯の発達が未熟な赤ちゃんには負担がかかることも考えられるため、安全な使い方を意識することが大切です。

 

日本の伝統的な道具を使いたいと考える場合、その歴史や魅力を尊重しつつ、現代の視点で特徴や注意点を理解し、赤ちゃんの発達や姿勢に配慮した使い方を心がけましょう。

 

 

 


同じ「布」でも別物・ベビーラップと兵児帯

「ベビーラップ」と「兵児帯やさらし」は、一見するとどちらも「長い一枚布」であり、違いは幅だけに見えます。

しかし実は、だっこやおんぶにおける特性は大きく異なります。

 

ベビーラップは、赤ちゃんの姿勢を適切にサポートし、親の負担を軽減するために長年研究・開発されてきた専用の布です。赤ちゃんの発達に安全な姿勢をサポートするためにどう使うか、その使い方についても研究されてきました。

 

一方、兵児帯やさらしはもともと日常生活の中で多用途に使われてきた布を、おんぶやだっこにも応用しているものです。

 

赤ちゃんの自然な姿勢をサポートする「適切なストレッチ性」や「斜めの弾力」があるベビーラップに対し、兵児帯やさらしはハリの強い布というように、布自体の特徴も異なります。

 

また使い方において、引き締めて適切に姿勢を保持するという考え方や方法もベビーラップならではです。

 

最近では、ベビーラップの素材を使った「兵児帯」も販売されていますが、これらを「兵児帯」として使うのか、「幅の狭いベビーラップ」として使うのかで、使い方や赤ちゃんの姿勢への配慮が異なります。

 

どちらが良い悪い、ということではなく、それぞれの違いを理解し、目的に合わせて選択することが大切です。

 

赤ちゃんの発達と親子の暮らしに寄り添うだっこ紐選びを

以上、赤ちゃんの発達に合わせて、だっこやおんぶの仕方、そして適切な道具の使い方も変化していくことをお伝えしてきました。

 

変化に柔軟に対応できるのがベビーラップの大きな魅力です。

 

しかし、すべての人にベビーラップが最適とは限りません。


だっこおんぶの基本の道具として「ベビーラップ」をまずは試してみて、難しい場合には、赤ちゃんの発達や暮らしの状況に合わせて他の選択肢を考えてみる。この流れを経ることで、自分に合うだっこ紐になかなか出会えない「だっこ紐難民」の状態から抜け出しやすくなります。

 

どんな道具も「どう使うか」がとても大切なため、専門家の立ち会いやサポートのもとで、自分に合うだっこ紐を選びましょう。

ベビーラップを試してみたい・始めたい方へ

赤ちゃんの発達を支え、暮らしを快適にするために、ベビーラップにチャレンジしてみませんか?


初心者の方も安心して使いはじめられるよう、サポーターが丁寧にお手伝いします。

 

・ベビーラップの良さを体験したい方

・購入したけど使い方がわからない方

・赤ちゃんの成長に合わせて使い方をうまく変化させていきたい方

 

など、お気軽にご相談ください。